制御時代のサスペンション
制駆動力による姿勢制御からサスを考える
サスペンションの役割は
・タイヤを確実に路面に接地させておくこと
・外乱があってもボディを安定させること
近年,自動車のあらゆる部位に制御が施されているため
車両姿勢の安定化に対してサスのみがそれを担うという状況ではなくなっている.
そんな中.各社は「クルマをどのようにしたいのか」
21年の最新技術について紹介されている.
Introduction
①それはずっと変わっていない
現在,ほとんどの車両に搭載されている車両姿勢制御機能.
それとは別に独立した姿勢制御機能をサスに付与する例が増えてる.
しかしサスの役割が路面とボディとの仲立ちであることは変わらない.
サスが果たす基本的な役割がここでわかりやすい図とともに説明されている.
②アクティブ第2世代への道
一般的なサスはパッシブ(受動的,エネルギを消費しない)型であるが
アクティブ(能動的,エネルギを消費する)型も研究開発が進められている.
このアクティブ型のサスについて過去,開発されたものから現在開発が進められているもの
まで日産で開発をされていた福島博士,芝端博士2名の博士によりくわしく解説されている.
③ADAS/ADにおけるトルクベクタリングの可能性
ADASは先進運転支援システムADは自動運転のことです.
トルクベクタリングとは4(もしくは2)のタイヤにトルクをどのように配分するかという技術のこと.
また最近シェアードコントロールという新たなコンセプトが提案されている.
シェアードコントロールとはドライバーの運転に対してシステムが修正を加えるというもの.
このシェアードコントロールを実現するための取り組み,実験結果などが紹介されている.
最新事例PART1
マツダ3:SEB
マツダ3にはTBA(トーションビームアクスル)方式が用いられているがこのビームの部分が工夫されている.
従来はビームの部分が同一直径の鋼管を成形したものであったが部分ごとに断面周長が異なる構造にした.
これをマツダではSEB(スマート・エクスパンド・ビーム)と呼んでいる.
AWDにTBAを組み合わせることの意義について紹介されている.
ノートe-POWER:駆動力をロスしないシャシー設計
ノートe-POWERのリアモータは100Nmもの高トルク.
この駆動力をロスしない,車体が遅れることなく反応するシャシー設計についての取り組みについての紹介.
エクリプスクロスPHEV:S-AWD
三菱自動車が得意とする4輪駆動最適制御と駆動力電動化.
このシステムの特徴と利点について簡単に触れられている.
最新事例PART2
レクサスIS:既存技術のブラッシュアップ
ISはハブボルトによるホイール締結,サスの改良について改良点やその狙いについて
紹介されている.
レヴォーグ:シャシー設計
ボディ剛性を高めることでサスを狙いのとおりに動かせるようになった.
ボディ剛性を高める利点とサスとの関係についての紹介.
ヴェゼル:要素進化によるサス性能向上
サスに使用される部品,ばねやボールジョイント,ブッシュ類を見直すことで
サス性能を向上させている.
そのほか
・特徴的な最新のサスペンション
・SONYカー開発
などのついての記事あり.
まとめ
今回は最新のサスペンションについて各社,新型車を例に紹介されていた.
書いてあることをしっかりと理解するには,バネ,ダンパとは何か.
という機械力学の基礎知識や車両運動学に関する基礎知識が必要となる.
しかし,いつも通り図が多用されていて,わかりやすく解説されている.
ご興味ある方はぜひご一読ください.